女の子「ここ！こっち！こっち！」

俺「えーおいおい、逃げ出す前に仕留めないと」

女の子「大丈夫！ちゃんと捕まえてるから！」

俺「え？どうやって……」

女の子「つま楊枝でティッシュにはりつけにしてるから！」

俺「えっ」

女の子「動けないのに逃げようとしてもがいてるの！ほら！見て見て！」

俺「…………」

あるあr…あるある

普通に手でつかんでポイする女よりマシ

（夏の日のおもいで）


ｺﾂｺﾂｺﾂ

俺「ん？なんだろ……」

女の子「あ、カナブンだ。捕まえたーっ！」

俺「部屋に入れるのはいいけどさ、電灯とかに張り付かないかな」

女の子「えい」ﾎﾟｰｲ　ﾊﾞﾘﾊﾞﾘﾊﾞﾘ

俺「ちょっ……何扇風機に突っ込んでんの」

女の子「カナブン固いから大丈夫だよ」ﾊﾞﾘﾊﾞﾘﾎﾞﾄｯ

俺「ああ……」

女の子「ほら、ほとんど無傷」

俺「足取れてるし……」

女の子「あっ！」ｼﾞｬﾘｯ

俺「ん？」

女の子「……何でもないよー」

俺「今何踏んだの？」

女の子「何でもないよー」

かわいくない？

サイコパスかな？

女の子「よっと」ﾊﾟﾁﾝ

俺「蚊？殺した？」

女の子「ううん……」

俺「逃したかー」

女の子「まだ生きてる……」

俺「ああ、そう……」

女の子「とりあえず逃げないように羽むしらないとね」ﾜｸﾜｸ

俺「…………」

女の子「お腹を下から爪でちょっとずつ、こうね、切り取って……」

俺「もうやめて」

田舎の子はたくましいな

俺「お湯なんか持ってどこ行くの？」

女の子「気にしないで」

かわいくないですか？

なんかわろた

19歳で親友以上恋人未満の女の子だけどかわいくないんですか？

イモト素手で捕まえて外に捨ててたぞ頼もしすぎる

>>1のつづき


俺「あっ逃げ出した！」

女の子「えっ！……おっと！」ﾊﾟｼｯ

俺「おお……」

女の子「逃がさないもんねぇ……ふふふっ」

俺「……あのさ、さっさと殺さない？」

女の子「……うーん……いや、あともうちょっとだけ」

俺「そう……」

女の子「お腹がちぎれかけてるのにまだ生きてるんだもんなー」

むしろお前がかわいい

ホントに腹がもげ落ちちゃってもまだ走り回ってるもんだからビックリだよ

俺「満足した？」

女の子「うんっ！」

俺「……よかったね」

女の子「もう5匹くらい出てこないかなあ」

俺「…………」

満足してないしな……

女「きゃーゴキブリーきゃー！きゃー！」

俺(仕方ないな)「どこ？任せて」

女「いや、もう潰した」

俺「悲鳴あげてた割には逞しいね」

女「こういうのって悲鳴あげとかないと駄目なんでしょ？」

俺「そうなのか・・・」

もっともっと

俺「うわっ玉虫！」

女の子「あっほんとだー、綺麗だねー」

俺「いやーすごい！珍しい！」

女の子「……このレインコートの色だね」

俺「え？全然違うけど……」

女の子「…………」ｳｽﾞｳｽﾞ

俺「やめろ！」

俺「ん？なんだこの虫……」

女の子「あ、それ臭い虫だ」

俺「へー？そうなの？」

女の子「うん……素手で触ると臭いが移っちゃうから気をつけて」

俺「ん、ありがと」

女の子「だから石とかで徐々に潰していくんだよ」

俺「ん？」

女の子「案外すぐ動かなくなっちゃうけど羽がだんだん取れていくのが感慨深くて」

俺「…………」

俺「リンゴ投げつけたりはしないの？」

女の子「は？」

俺「なんでもない……」

虫を虐めるだけでは気が済まずその対象は徐々に>>1へと向けられていった…

女の子「あれ、蝶だ……」

俺「飛べなくなったのかな？」

女の子「かわいそうに……」

俺「……珍しく優しいじゃん」

女の子「そうかな？ふふっ」

俺「う、うん……」ﾄﾞｷｯ

女の子「じゃあとりあえず水に浸けて早くラクにしてあげよう」ﾎﾞﾁｬｰ

俺「えっ」

女の子「ほらほら鱗粉が溶けてくよ見て見て」ｷｬｯｷｬ

俺「…………」

女の子「カマキリ」

俺「はい」

女の子「まずは目かな。目が固くて飛び出してるから、一直線に突き通すの」ﾌﾞｽｯ

俺「うん」

女の子「それで、今度はカマをねじって自分の体を切らせてみたり」

女の子「なんというか……背徳感があって……すごいんだよ！」

俺「背徳感」

女の子「背徳感！」

カマキリこそ水に浸けて遊ぶだろ

女の子「次は……うーん、まあ何してもいいんだけど、触覚をもいだり、足をひねったり（ちょっと柔軟で楽しい）」

女の子「自分の腕を食べさせたり、お腹に棒を刺したり、……あ、カマキリのお腹に刺すときの感触がね」

俺「うん」

女の子「柔らかくて独特なの。バッタよりもこころもとなくて、コガネムシなんかもってのほか」

女の子「ﾌﾟｯ、ｽｯ……スーッ……って感じで、空気の中を通ってるみたいな感じ」

俺「水に浸けたりしないの？」

女の子「え？……ああ、ハリガネムシの話？」

俺「うん」

女の子「……それ、楽しい？」

俺「え？」

女の子「何が楽しいの？」

すいませんぼくがにわかでした

もちろんハリガネムシを出して遊ぶという楽しみ方も充分アリだと思うけど
それはハリガネムシを眺めてるのが楽しいだけで、それじゃカマキリは置いてけぼり
って言ってた

気持ち悪い

女の子「（俺）くんはこういうことしたりしないの？」

俺「しないよ」

女の子「じゃあ、子供の頃は？」

俺「ああ……まあ一応、ダンゴムシで遊んだりしたかな」

女の子「ふむふむ」

俺「後ろから棒を突き刺して……頭の節を外したり」

女の子「あるある」

俺「あとは自転車のチェーンのくぼみに置いて、ペダル回して潰したり」

女の子「面白そうだね」

俺「……子供の頃の話なんだけど」

かわいいじゃん

だよねかわいいよね

女の子「はー……暖房あったかーい」

俺「そうだねー」

女の子「あ、こんなところにクモがいる」

俺「冬なのにね。この部屋で生き永らえてるのかな」

女の子「ほーら暖房だよー」

俺「冬なのにな……」

曰く「熱してやると物のように動かなくなるのがいい」とか

なあ、かわいくないのか

怖いよそんな女の子

かわいいかかわいくないかで言ったら怖い

虫を仕留めたあとは満ち足りた笑顔でﾆｺﾆｺﾃｶﾃｶしてるとしても？

その子さぁ
メンヘラとかそういうのじゃないのかなぁ

女の子「あ、暴れるなーっ！このっ！」

俺「な、何？大丈夫？」

女の子「と、トンボなんだけど……こいつが暴れて、爪立ててきて、いたた」

俺「ふーん……」

女の子「このっ……よし、ぜんぶの羽半分ちぎった！」

俺「……そう……」

女の子「トンボはすぐ逃げちゃうからなあ」ﾌﾞﾁﾌﾞﾁ

俺「脚……」

キチガイ多すぎだろ動物は大切にしろ

女の子「セミは空っぽで玄人向けだよこれは」

俺「へー、苦手分野とかあるんだね」

女の子「うむ……棒を突き刺してみてもスカスカで、全然手応えがないの」

俺「カマキリは？」

女の子「カマキリは中身が詰まってるけど、セミはなあ……」

俺「ふーん」

俺「どうしたの？田んぼのそばにうずくまって」

女の子「へへ……カブトエビ！」

俺「そんなのまでアリなんだ……」

女の子「うん！こう、尻尾をつまんで……」

俺「う……」

女の子「バチーン！」ﾊﾞﾁｰﾝ

俺「ああ……あれ？何これ、赤い……血？」

女の子「そうそう！」

俺「カブトエビも可哀想になあ」

女の子「たくさんいるからねー」ﾍﾟﾘﾍﾟﾘ

俺「で、それは何やってんの？」

女の子「甲羅を剥がしてるの。目が甲羅についてるから目まで取れちゃうんだよ、ほら」ﾍﾞﾘｯ

俺「…………」

虫にも優しい子がいい

こういう女好きになれない

キチガイだった